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「……それ、返事させる気なら、…意地悪だと思う……」
胸の中でガチガチになった美琴が、顔を埋めて呟く。
…なんかもう、惚れてるなぁって。
改めて、実感した気がする。
このちっちゃい小動物、どっかに閉じ込めておけないかな。
……なんてアブない考えが頭を巡って、誤魔化すように美琴をむぎゅーっと抱きすくめた。
「……水曜日……」
「ん?」
「……行くよ……」
「……」
意地悪だって言うくせに、律儀に返事をくれる。
思わず赤面してしまってから、小さく咳払いをして、「うん」とだけ答えた。
この時にはもう、初恋の幼馴染みのことなんて、何でもないように思っていて。
これから先、あの神宮桔平に振り回されることになるとは、思いもしなかった。
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