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翌日。 俺は、朝からテンションがた落ちだった。 「牧瀬の彼女って、ミィちゃんだったんだ? てか、どこで知り合ったの。 あ、中学が同じになるのか。 なに、どっちから? 牧瀬があんまり女にがっつくイメージねぇし、ミィちゃんが積極的に押すとも思えないしなー。 でもさ、ミィちゃんって全然変わってないのな。 相変わらずボケてるというか、純粋というか」 原因は、言わずとも知れたこいつだ。 神宮桔平。 まるで自分のクラスみたいにこの場に馴染みながら、美琴との再会話に花を咲かせている。 ぺらぺらぺらぺらと。 本人は悪気はないのかも知れないけど、いかに美琴と仲が良かったのかを聞かされてしまうのは、正直、面白くない。 「…神宮。 お前、なにしに来たの」 「へ? だって牧瀬の彼女が俺の幼馴染みだったなんて、すごい偶然じゃね?」 「……答えになってない」 神宮はへらっと笑って、 「昔はさ、やんちゃで男の子みたいだったんだよ。 ミィちゃん。 けど、やっぱり月日は経ってんだなー。 俺、相当身長伸びてるからさ、昨日、ミィちゃん見下ろしたときの感動っていうの? 俺ってやっぱり男で、ミィちゃんは女の子なんだなーって、初めて実感したかも」 「……」 「一瞬、髪の毛上げたときのうなじとか。 なんつぅか、ちっちゃいのに妙に女らしくて、こう、ムズッて……」 「ちょっと」 少し興奮気味に話していた神宮を、冷たい声で遮る。 キョトンとした神宮を、俺は出来るだけやんわりと見て、 「再会した幼馴染みの変化に喜んでるとこ悪いけど。 あれ、今はもうお前の幼馴染みじゃなくて、俺の女なの。 人のもので変な妄想すんの、やめてくれる?」 と言って、にっこりと笑った。
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