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神宮は、しばし目をキョトンとさせて。
それから、……にやっと笑った。
「…独占欲丸出しの男は、嫌われるぞ?」
「……大きなお世話だよ」
「わーかったって。 そんなムキになんなよ。
でもさ……」
ぐっと身体を乗り出して、神宮はどことなく挑戦的な目を向ける。
「他人じゃ、ないからな」
「は?」
「牧瀬の女だっていうのを頭に置いといて、“お友達”として仲を深めていくのは、問題ないだろ?
ミィちゃんがお前の彼女になったって、他人になるわけじゃないし」
「……お前、なに考えてんの?」
怪訝な顔でジロッと睨むと、神宮は肩を竦めてみせる。
「なにも。
ただ、俺だってミィちゃんと仲良くしたい」
「………」
神宮があえてそんなことを言うのは、俺をからかってるだけ。
……だと、思う。
思うんだけど、…それでも、胸の辺りがざわつく。
そんな俺を見透かしたのか、神宮はわざとらしく両手を上げて首を振った。
「だから、ムキになんなって。
別にミィちゃんを恋愛対象として見てるわけじゃないし、ましてやお前の女を摘まみ食いしようなんて思ってねーよ」
「……冗談でも笑えない、それ」
思いっきり、ため息をつく。
当たり前だ。
摘まみ食いなんてそんな軽々しく手を出されちゃ、堪ったもんじゃない。
そういう生々しい話題に美琴を出すのですら、イライラするのに。
「んな怖い顔すんなよ。
……それよりさ」
俺の不機嫌さなど鼻にも掛けていない神宮は、今度はひそひそ話をするかのように顔を寄せる。
そして。
「ミィちゃんの脇腹に、ほくろが2つ並んでるの、もう見た?」
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