29208人が本棚に入れています
本棚に追加
……ピキ、と、こめかみ辺りから音が響きそうだ。
サックリと地雷を踏んだ神宮は、俺の顔を見て呑気に笑う。
「悪い悪い。 今のはふざけが過ぎたかも」
「ふざけ、じゃ済まないんじゃないの」
「だってそんな睨まれるとは。
……もしかしてもなくて、まだ、してないんだろ」
「……下世話」
「いやね、警告だって。
大事にしてんのは分かるけど、それが裏目に出たら意味ねーだろ」
「なにが」
「言ったじゃん。
ミィちゃんは変わってなくて、“純粋”だって。
男慣れしてないくせに、男に無防備。
…男知ってる女は、無意識に無防備にはなれないんだよな。
だから、……彼氏がいても、そんなオーラばんばん出してちゃ、危なっかしい」
「……」
神宮は首を傾げて、ニヤリと口角を上げる。
「他人のものなのに純粋な女、なんて、男の狩欲を刺激する。
――奪ってやろうか、……ってね」
思わず、殴ってやりたい衝動に駆られた。
立ち上がろうと、ぐっ……、と無意識に足に力が入った瞬間。
パコーーン!
「……っっ!!」
軽快な音を鳴らし、後ろから丸めた分厚い教科書で頭を叩かれた神宮は、その綺麗な顔を痛みで歪ませた。
「朝から寝ぼけてんじゃねーよ。
この肉食獣」
悶絶する神宮の後ろから顔を出したのは、三原だ。
最初のコメントを投稿しよう!