4/13
前へ
/216ページ
次へ
……ピキ、と、こめかみ辺りから音が響きそうだ。 サックリと地雷を踏んだ神宮は、俺の顔を見て呑気に笑う。 「悪い悪い。 今のはふざけが過ぎたかも」 「ふざけ、じゃ済まないんじゃないの」 「だってそんな睨まれるとは。 ……もしかしてもなくて、まだ、してないんだろ」 「……下世話」 「いやね、警告だって。 大事にしてんのは分かるけど、それが裏目に出たら意味ねーだろ」 「なにが」 「言ったじゃん。 ミィちゃんは変わってなくて、“純粋”だって。 男慣れしてないくせに、男に無防備。 …男知ってる女は、無意識に無防備にはなれないんだよな。 だから、……彼氏がいても、そんなオーラばんばん出してちゃ、危なっかしい」 「……」 神宮は首を傾げて、ニヤリと口角を上げる。 「他人のものなのに純粋な女、なんて、男の狩欲を刺激する。 ――奪ってやろうか、……ってね」 思わず、殴ってやりたい衝動に駆られた。 立ち上がろうと、ぐっ……、と無意識に足に力が入った瞬間。 パコーーン! 「……っっ!!」 軽快な音を鳴らし、後ろから丸めた分厚い教科書で頭を叩かれた神宮は、その綺麗な顔を痛みで歪ませた。 「朝から寝ぼけてんじゃねーよ。 この肉食獣」 悶絶する神宮の後ろから顔を出したのは、三原だ。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29208人が本棚に入れています
本棚に追加