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「……ミカ姉、そろそろお開きにしない?」
「…なに言ってんの?
今、めっちゃ怖くていい感じなのに」
「だってリカ姉、さっきから俺に隠れて全然見てないし」
「な! なに言ってんの! 見てるわよ!
……ちらって」
「………」
ため息をついて、テレビの横に置いてあるデジタル時計を見た。
時刻は、8時ちょっと前。
先週はこのままズルズルとDVDを見せられ続けて、結局“怖いビデオ鑑賞会”で終わってしまった。
まさか今日まで、この二人に付き合うことはないだろうと思い、ふと、美琴に目をやる。
美琴は、真剣にテレビを見つめていた。
「………」
解せないのは、これ。
先週もだったけど、美琴はやけに真剣にDVDを観てる。
……まさか、好きなの?
マジで姉ちゃんたちと同じ趣味?
………。
まあ、それならそれで、美琴が好きなら付き合うんだけどね。
じーーっと美琴のつむじを見つめながらそんなことを考えていると、テレビから流れる効果音が一層不気味なものになった。
途端。
「んぎゃあああっ!!」
「ひいぃぃーーっ!!」
「うわっ!!」
「きゃああっ!!」
これまで以上にリアルに怖い映像が流れて、全員が同時に叫んだ。
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