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ああ、びっくりした。
この手のものを結構見せられてきた俺でさえ、こわっ。とか思った。
両隣はもはや絶句。 顔面蒼白。
美琴はというと、うずくまるようにして両手で口元を抑えていた。
……て。
あれ?
「みこ――」
「「あーっ! 美琴ちゃん、泣いてるー!!」」
俺が言うが早いか、双子はやけに嬉しそうに美琴を覗き込んでいた。
美琴の目は、うるん、と揺れている。
気まずそうに見上げられたその顔に、ゾクゾクしたのは、俺だけじゃないはず。
「可愛い…!」
「美琴ちゃんの泣き顔、最高…!」
「……ちょっと、姉ちゃんたち…」
どこか恍惚とした表情で美琴を食い入るように見つめる姉たち。
その気持ち、すごく良く分かるんだけど……、と、同調してしまいそうになって、慌てて我に返る。
……このドS双子め。
そうだ。
小さくて頼りなさげで可愛らしい美琴は、まさにこの二人の大好物だ。
美琴のこの顔見たさに強引にこんなDVDを見せていたんだとやっと気付いて、俺はベリベリと両腕から双子を引き離した。
「おいで、美琴。
俺の部屋、行こう」
「……え」
立ち上がり手を差し出した俺に、美琴は意外な行動を取った。
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