No.01 ◆エレメンター研究所◆

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部屋に足を踏み入れた僕は、驚愕した。 「広…。」 部屋…と言うより家のようだ。 広い玄関に幾つも収納可能な靴箱。 天井は見上げるほど高い。 「ほら!なに突っ立ってんの?荷物、寝室に置いとく?」 「あ、はい…」 こっちきて そう言う風に手招きをされ寝室へと案内される。 その間に広間のようなフローリング式のリビングと綺麗な大きいキッチンが備え付けられていた。 それにも驚いたが、それより遥かに広い寝室。 僕の住んでたアパートの何十倍も広い。 二人暮らしの寮にしては広くないか…? 寝室にはキングサイズのベッドが2つ部屋の奥に並んでいる。 「あ、ボクのベッド左側だからね。キミ、右側使ってよ。」 「…わかりました。」 未だにこの家…部屋?の広さに酔っていた。 とにかく、僕はずっと背負っていたリュックを肩から降ろした。 なんだか軽くなった気がした。 「あ、そいえばお互い名前聞くの忘れてたね!」 「そう言われてみれば…そうでしたね。」 「改めて、はじめまして!ボクは神保 龍太(じんぼりゅうた)って言います。歳はこれでも26歳だよ!さ、キミの番!」 神保龍太はニッコリ笑って見せた。 「美月川 星一です。26歳…です。」 僕は彼の無邪気な笑顔に気が抜けたのかもしれない。 声がうまくだせなかった。 「26歳…ってことは同い年だ!じゃあじゃあ、ボクの事は龍太って呼んでよ!それと、今更だけど敬語なんて堅苦しいよ。タメなんだし、ため口で話そ?」 「はい!…いや、うん?じゃあ、僕の事は普通に星一でいいよ。美月って呼ぶ人もいるけど」 「うん!星一ね!」 そうして2人はお互いの事を話し合い、友人として仲良くなった。 だが、星一はまだ知らなかった。 この施設で行われている事を。 この先で待ち受ける運命も。 彼はまだ知る由もなかった。
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