満月の夜

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「少し風が出てきたな。」 「えぇ。」 「身体に障るといけない。さぁ、中へ。」 「もう少しだけ…。」 「続きは明日にしないか?」 「いいえ。もう少しこのままで…。」 か細い身体には不釣り合いの意志の強い瞳。 月明かりに照らされたそれはゆらゆらと水面のように揺れていた。 私は貴女の身体を思い胸を痛めているというのに…。 「では、しばらくこうしていよう。」 細い身体にそっと手を置き、自分の方へと引き寄せた。
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