episode 1

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手を差し出したまま動かない不良さん その目は僕に何かを伝えているような そんな気もした いつまで悩んでてもらちがあかないよな… そう思ったのか はたまた何かを感じたのか 僕の手は吸い寄せられるように 不良さんの手を握っていた って 何で不良さんとなんか 握手してんの!? このまま手を握りつぶされて―― ギュッ 僕の妄想を知ってか知らずか 不良さんは僕の手を握りかえしてきた ひっひぃぃっ! まだ死にたくなっ 「…俺と、友達になってくれないか」 まるで蚊が泣くような声で不良さんが言った ………はい? あまりの唐突さにぽかーんと呆けていると 不良さんは顔を赤らめながら はっきりと 「頼むっ!俺と友達になってくださいっ」 僕の手を握りながら さっきよりも大きい声で叫んだ ……どうしよう 純粋に嬉しいんだけど 僕は軽く頬を緩ませながら 「こちらこそ、よろしく」 恐らく、最大の勇気で答えた …だって、恐いんだもん
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