Introduction

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階段を登り、一階の広間に出る。 そこにはいつもどおり“彼女”がいた。 腰まで伸びた長い青紫の髪。 真珠のように白い肌。 深紅のガーネットの瞳。 薄くローズレッドのルージュを引いた唇。 挙げればキリがない。 その全てが絶妙なバランスで“彼女”の美しさを創り上げているのだから。 「おはようございます、アレク様」 “彼女”は僕の同居人であって召使いではない。 でも、“彼女”に出迎えられない日はない。 こんなにも美しい“彼女”が、僕だけに優しく微笑みかけてくれる。 ああ、いつもながら思う。 こうして“彼女”が「おはよう」と言葉をかけてくれる事が夢じゃないか、と――
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