Introduction

6/11
前へ
/86ページ
次へ
さて、ワインか薔薇かを選ばないといけないわけだけど。 実のところ今日は、どちらも乗り気じゃないんだよね。 となると、残るは…… 僕はワインをロゼットから受け取り、少し離れたテーブルの上に置いた。 その間に彼女は薔薇を花瓶に生ける。 これで彼女の手にはもう何もない。 (本当に、僕の前では隙だらけだなあ) 僕は心置きなく彼女を後ろから左腕で抱き寄せた。 彼女が僕の腕を振りほどく事なんてないだろうけど、一応少しだけ腕に力を込める。 基本的にヴァンパイアは怪力らしい。 個人差は当然あるけど、その気になれば人間を片手で投げ飛ばすくらいはできるらしい。 加減には気をつけないと。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

84人が本棚に入れています
本棚に追加