Introduction

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薔薇の香りがする。 まるで強い香水のように。 ただし人工的なものじゃない。 発生源はロゼット自身だ。 彼女は薔薇そのものだし、当然と言えば当然なんだけど…… (でも、それだけじゃない) 空いている右手で彼女の髪をすくいあげる。 「あ、の……」 「何?」 我ながら意地悪だとは思う。 「食事は……?」 「そう慌てなくてもいいだろう。――ワインのテイスティングの順番は知ってるかい?」 「外観、香り、味の順……でしたか?」 「上出来だよ」 その品質を確かめるのが本来の目的。 ワインを楽しむ事を前提にね。 「じゃあロゼット。聡明なキミなら、どうして僕がこんな事をしてるのか、少し考えれば理解できるはずだよ」
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