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《1》
深夜二時
灯りの消えない夜の街...ここ、リバーシストリートの一角にある一つのネオンが消灯した。
ピンクのネオン板、BAR"カラフル"
つい先週までは、最後の客が店をでるのが二時半過ぎになっていたにも関わらず、この日はいつもより、閉店が早かった。
カラフルのニューハーフ女将ママンは、closeと書かれた札をドアノブへと掛けると、未だに灯りの消えない向かいの店に目線を向けた。
店内が賑わっていることが、道路を挟んだこちらにまで伝わってくる。
つい三日前、新しくオープンを向かえた、BAR"エテールノ"である。
ママンの経営するカラフルとは、全く違うコンセプトのもと、建てられたのだろう...
外装だけを見れば、BARというよりもどちらかといえばお洒落なイタリア料理店のように造られており、静かな雰囲気を楽しむことよりも、明るく楽しくを心掛けた店のようだ。
そんなイメージの店を横目で流すと、ママンは灯りの消えた自分の店へと戻っていった。
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