容疑者

32/41
前へ
/516ページ
次へ
『青酸性の毒物?』 顎に手をやり、ママンは首を捻った。 『不謹慎なことを聞くようだけど...山岸さんは、いつ息を引き取ったのかしら?病院に運ばれて救命は出来なかったの?』 ママンの問いに、一輝は首を左右に振った。 「駆けつけた救急隊員の話では、彼は苦しそうにしながらも、しばらくは生きていたようであります。ですが、搬送中に大量の吐血をし、病院につく頃には息を引き取っていたようであります」 事件の起きた現場が山奥ということもあり、搬送が遅れたことも、彼を助けられなかった要因の一つでもあった。 これがもし山奥などではなかったら、助けられたのかもしれない。 『そう...』 ママンは、再び首を捻った。 .
/516ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3695人が本棚に入れています
本棚に追加