プロローグ

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「だが、これだけは宣言しておくぞ」 しかし、そうだな。 様変わりをしてしまった彼女へ、宣言ならできる。 ただ、また昔のように無垢な笑顔を見せてほしいだけなんだから。 「この夏休み、僕はずっと暇なんだ。だから、この長い休みを尽くして、君を昔のように笑わせてやる。完全に昔そのものに戻すことは、あいにくいまの僕では不可能だからな。笑顔を取り戻させることしかできないのも悔しいものだが、そこは欲張らず、堅実に行く」 さぁて……この暇な夏休みなど、ぜんぶ差し出してくれる。 この賭けの対象は無論、彼女の笑顔だ。 「───もう一度言うぞ。君に、笑顔を取り戻させてやる。必ずな」 ここから始まるのは、運ではなく実力がすべての、僕の全身全霊を賭けた大博打。 言うなれば、彼女のこれからという時間を巡った、僕の人生最大のギャンブルか───。  
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