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校門に着くと、紗央莉が既に仁王立ちして待ち構えていた。
「あ、い、ちゃーん?」
「…なに?」
「ちょっと、遅すぎじゃないかなぁ?」
「別に。あんたがガキなだけじゃん。」
「んもーぅ!またそんな事言っちゃってぇ!でもそんな愛ちゃんが好きっ!」
紗央莉はいつもこんな調子で私にベタベタだ。
周りの目なんか一切気にしちゃいない。
(さてと…)
クラス表の貼ってある掲示板には、既に大勢の人だかりが出来ていて、近付くにも近付きにくい雰囲気だった。
ボソッ…「おい、アレ安本 愛じゃね?」
「相変わらず綺麗だよなぁ…」
「あの近付きにくい雰囲気もまたたまんねぇよなぁ…」
(さっきからあの男子達ジロジロ見てくるけど…なんか変なのかな?)
制服はいつも通りに着こなしてるしピアスも増えてない…。スカートも折ってる回数変わんないし…
(…あ、髪か。染めたから変なのかな)
そんな事を考えていると、紗央莉がものスゴい顔で走ってきた。
「愛ちゃん!場所変えよ!」
「え、なんで?」
「ここじゃあ愛ちゃん紗央だけの物にならないよ!」
「いや別にあんたの物になった覚えは…「はいっ!こっちぃ!」
「…はいはい。」
私の言葉を遮ると同時に、紗央莉は私の手を引いて中庭のベンチへと連れて行った。
紗央莉曰く、私は「紗央の大事な大事なリカちゃん人形」らしい。
褒められてんのかけなされてんのか分かんなかったから聞いてみたら、
「そんなの褒めてるに決まってるでしょぉ!紗央にとってリカちゃん人形は、命より大切な物なんだからぁ!」とのことだ。
まぁ結局、紗央莉は私の事を大事に思ってくれてるらしい。
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