プロローグ

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『trrrru……trrrru……』 電話特有の無機質なコール音。 耳元で鳴り響くそのコール音が、彼女をひどく苛立たせる。 彼女はもう何回聞いたかわからないその音に、不快そうに舌打ちした。 「なんで出ないの!?」 彼女が、荒々しく受話器を置いた。 舌打ちも勿論忘れない。 舌打ちはどうやら、彼女の癖らしかった。 『ピピーピピー』 受話器が所定の位置に戻された事で、間抜けな音と共にテレフォンカードが排出される。 その機械として当然の動作にまで苛立ちを感じたらしい彼女は、舌打ちをしながら、ひったくるようにカードを抜き取った。
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