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五話
私は記憶を必死に探った。
あの時の車のナンバー、色、ほかにもさまざまなことを考えた。
しかし夕凪が死んだときのことさえも覚えてないのにそんなこと覚えているわけがない。
私は山中さんに頼んで、事故現場に行くことにした。
「あれは完全なひき逃げだ」
山中さんはそう言った。
事件性も十分に考えられる。
現場に行くと、警察の人たちがたくさんいた。
さすがの私も委縮してしまった。
「ああ、あなたが山中の言う被害者ですね。私は警視庁捜査一課の川谷と申します。以後お見知りおきを。」
きれいな女性の方が挨拶をしてきた。川谷というらしい。
「川さん、この現場を見る限り、完全にひき逃げではありませんか?」
「そうね。犯人も逃走しているし、なによりブレーキをかけようとした痕跡がないわ。これは完全なるひき逃げです。」
川谷さんもそういった。
それにしても、警察官は現場を見ただけで車のブレーキ跡とかを判断するからすごいと思う。
「そういえば、ガイシャの家宅捜索をしたら、こんなものが出てきたわ。」
川谷さんが見せてきたものは、七色のポシェットだった。
「…それ!!」
「何か心当たりでもあるの?」
「それ、夕凪、あ、花岡さんが
私にくれると言っていたものです。」
「そうなの…。なにか関連性がありそうね。本格的に調べるわよ!…鑑識!」
そういって、川谷さんは去っていった。
それにしても、あのポシェットに何の関係があるんだろう…。
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