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俺は佐藤真。
"元"桜東高2年の現役高校生。
あぁ、元ってのは言葉の綾で別に留年したとかそういう訳ではないぞ。
先月、父方のばあちゃんが倒れたって連絡が入り急遽、小学校以来顔すら出してなかったばあちゃん家に一家揃って移り住む事になったんだ。
ばあちゃん家には父の弟夫婦が住んでいたので大丈夫だ、なんて言ってくれたにも関わらずあのマザコン親父ときたら、次の日には、退職届け出してきちゃった☆とかほざきやがる。
んで、そうなったら俺だけみすみす家にとどまるなんてことはできないので俺の高2の夏休みは転入の色々な手続きやら引っ越しの準備でほとんど地元の奴との思い出を作れないまま終わろうとしていた。
んで今日が夏休み終了3日前、ここ桜東町とオサラバし、ばあちゃん家がある
南瓜生島に引っ越す日だ。
「ったく、親父の奴あんなに焦るなら毎年正月、盆くらい顔出してやってればよかったのにさぁ」
「仕方ないだろう。島まで何時間かかると思ってるんだ」
独り言のつもりだったんだが。
それにしても中途半端なマザコンだ。
今は島に向かうフェリーの中。
南瓜生島は地図で探すのも困難な「超」がつくほどの離れ小島でフェリーも一日に一本しか出ていない。
そんな離れ小島で今日から暮らすのか・・
という不安はもちろんの事、俺には少し楽しみな事がある。
ばあちゃん家にいる親父の弟夫婦には俺と同い年の女の子がいる、つまり俺の従姉妹にあたる子だ。
昔、ばあちゃん家に行っていた時はよく一緒にお風呂など入っていた気がするのだがもしかして今回も・・
「なーんてな。あは、あははは。ねーよ。」
「どうしたんだ、真?大丈夫か?」
「ちょ、マザコンは黙ってろ」
「へ?」
「あ、いやなんでもねーよ、嫌だなぁもうお父様ったらぁ。」
「お前、本当大丈夫か?」
「だあああっ!!大丈夫だって言ってるだろ。それより部屋に戻って母さんの様子でも見て来い、俺はもう少し潮風に当たっていたいんだ(キリッ」
「お、おう・・」
渋々と部屋に戻る父、その背中を見ながら俺は思う。
「これがリア充()かぁ」
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