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空間が捻じ曲がり、彼の居場所への一本道が開ける。
そこは焼失した家の中でしょうか。
……どこでもいいですね。
一歩、また一歩と足を運んで彼の下へと向かう。
結界に外の音を遮断する機能はない。
当然、彼は起きていますね。
呆然と立ち尽くしています。
ふふふ、将来、私を討つ者とは思えませんねぇ。
「こんばんは……」
「……お前がやったのか?」
「お前ではありません。
ルーツです」
「お前がやったのかと聞いているっ!」
はて、何がいけなかったのやら。
ちゃんと辞儀もしましたし、口調も丁寧なものを選んだはずですが……。
ま、いいでしょう。
どうせ、私の目的は彼を激昂させることにあるのですから。
「その通りですよ。
私の魔術でね……焼き尽くしたのですよ」
「どうしてだよ?」
「貴方の為なのですよ。
貴方と、私の為の、ね」
「……ふざけるな」
もう少しでしょうかね。
剣や銃は持ち合わせてはいないようですが、まぁ素手で殴りかかってくるような勢いで憎んでもらわないといけませんからね。
「人が死んだんだぞ?」
「死んだのではありません。
殺されたのですよ。
私によってねぇ。
クフフフフ」
「お前に人の心はないのか?」
「心外ですねぇ。
心ぐらい、私にだってありますよ」
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