幼なじみ

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初めまして、陽上 鋼也です。 5月8日、GWも過ぎてほとんどの人がダレるこの時期に、珍しく僕は目覚ましより早く目が覚めた。 いつものようにカーテンを開け、いつものように朝食を自炊し、いつものように歯を磨いて家を出る。 「行ってきます……──って、流奈(ルナ)はまだ起きてないか。」 流奈は大学生のいとこのお姉さん。 今僕は、訳あって居候をさせてもらってる。 まぁ、訳と言うのはまた今度の機会で。 ここは小鳥遊町(タカナシチョウ)という郊外にあるそこそこ大きな町。 僕はその町のほぼ真ん中にある小鳥遊高校に通ってる。 学校までは歩いて約15分くらいだけど、家から近いからチャリンコ通学は認められていないので、仕方なく登下校は徒歩だ。 うちの学校の大半の生徒が僕のいた中学から進学してきている。 偏差値はあまり高くないので、それほど受験勉強に熱を入れなくてもよく、地元であるから通学にもそれほど苦労することもない。 私立校だけど町の名前がそのまま学校の名前にもなっているのは、あまりないことだ。 しばらく歩いてるうちに広い通りに出ており、制服を着た学生もちらほら見えてきた。 その制服はここの地域にある公立の学校のものであり、うちの制服と色もデザインも良く似ている。 入学してから一ヶ月とは言え、たまに見間違いそうになるくらいだ。 それにしても、皆さんGW開けなのにきびきび歩いてらっしゃる。 僕の場合は、どちらかと言えばまだ体が休み感覚なので、体は幾許か重い気がした。 早起き出来たのが不思議でならないよ。 ふぁあ~、と欠伸をかまそうかと思った矢先、公立の制服の人の波に、うちの制服を着た女子が一人ふら~っとついて行ってしまった。 余談だが、聞いた話によると、一年生による春先の遅刻の原因の一つが《学校を間違える》らしい。
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