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─帰り道─
「鋼也君ってすごく強かったですね。」
「う、うん。ちょっとだけ剣道やってるから。」
褒めてくれる人が可愛い女の子だと……照れる。
──あ、分かれ道だ。
「僕はこっちだから。」
「私はこっちです。」
う~ん、別々の道か。
そして彼女は振り返り、僕を見つめる。
「今日はありがとうございました。その、できればまた今度一緒に帰ってくれますか……?」
うっ……。
ところで今日は金曜日。
土日を挟んで次に学校に来るなら月曜日。
でも僕はその時には、もうこの学校には来ない。
「あのね、実は僕……転校するんだ。だからね、もうこの学校には来ないから一緒に帰れない。ごめんね……。」
「……。い、いいんです。謝ることないですよ。」
彼女は一瞬だけ表情が曇るがすぐに明るくなる。
「どんな所に引っ越すんですか?」
あまり詳しいことは知らないのだけれど、県内の町なので、町名だけは伝える。
「ふぅ~ん、ちょっと遠いですね。鋼也君は私のことを忘れちゃうかもしれないですけど、私は鋼也君を忘れたくないですから……。だって……ボソッ………。」
「え?ごめん、最後のとこ良く聞こえなかった。」
彼女は顔を赤く染め、僕に近き、耳元でこう囁いた。
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