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半泣きのギルベルトが叫んで走って行ってしまう
アルフレッドの腕を振り切り追いかけようとしたらまた腕を掴まれた
「なんだよ!」
「…行くのかい?」
目を見て揺らぐ気持ち
ギルベルトを追わなくてはという気持ちとアルフレッドといなければ脅されてしまうという気持ち
正しくは脅されてしまうというより一緒にいたいという気持ち
「…ちょっとだけ待ってろ」
にこりと笑い自分もまた走りだす
背中に突き刺さる視線が痛い
足が速い(俺だって速いけどな!)ギルベルトを追いかけ捕まえるのは至難の業だった
しかも階段を降りる途中でチャイムが鳴ってしまった
授業中の学校を走るのは気が引けたがこの際気にしないことにしよう
教師に見つかったらギルベルトを指導の為に追い掛けていると言えば信じて許してくれる(あながち間違ってない)
やっと止まったのは屋上から大分離れた管理棟にある化学室の前だった
いつも大きく感じる背中が小さく感じてどれだけショックだったかを物語る
同時にそれほどまでに本気だったのかと気付いてしまった
「…ギルベルト」
「アーサー、嘘だよな?アイツと付き合ってないよな?」
背中を向けたまま問い掛けられ一瞬躊躇った
弱々しく震える声が耳に届いて視線が泳ぐ
ぐすん、と鼻を啜り想いを吐露するギルベルトを自分は今までずっと「友達」だと思っていた
それでずっと傷付けてきたのかもしれない
「アーサー、わりぃ…でも俺様はお前が好きなんだ
ずっとずっとアーサーだけが好きだった」
振り返ったギルベルトは涙腺が決壊していてぶっちゃけカッコ悪い告白だろう
だが笑ったらダメだ
ここは素直に自分の気持ちを話そう
俺達ならまた、元に戻れるはずだから
時間はかかるけどいつか
「…ごめん」
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