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屋上の扉を勢いよく開けた
しかし雨上がりの濡れたそこには誰も居なかった
居るわけないのだ
第一自分は一昨日それで傷付いた
期待して
教室…はやめとこう
幸い朝先生には会っていないからしばらく生徒会室にいて先生には病院から直行しましたと言い訳しよう
振り返った時
「…アーサー」
泣きそうな顔で立っていたのは自分が今一番会いたくなかった人
「アーサー」
名前を呼ばないでくれ
そんな優しく、優しい声で呼ばないで
「アーサー」
「うるさい!」
「アーサー」
「やめてくれ、もう…嫌だ
タバコのことはばらしたかったらばらせ、もうほっといてくれよ、頼むから…」
あぁ、ついに決壊した
涙がぼろぼろ溢れてカッコ悪い
「アーサー」
「嫌なんだ、彼女いんのに俺にキスするの…彼女とキスした唇でキスするな…彼女とセックスした指で、体で俺に触るな」
これってただの嫉妬じゃないか
大体俺は指図できる立場じゃないのに
馬鹿じゃないのか俺は
ほら、俺を嘲笑うように雨まで降ってきた
アルフレッドを見つめると無機質な目と目が合った
濡れていく髪の毛と顔
ふと流れる雨が目を伝う涙に見えて胸が痛む
「アーサー、俺…彼女と別れたんだ」
「………え?」
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