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「見るな!」
フランシスが俺の目を塞いだ(俺の視界にはギルベルトとアントーニョしかいなかった)
暗闇の中ぐるぐる回る世界が俺に事実を押し付ける
アルフレッドが、男子生徒の肩を抱いていたのが見えたこと
仲が良さそうというか恋人のような雰囲気だった
落ち着いた凛としたオーラの東洋人がアルフレッドの…恋人?
「…屋上行くか」
そう言ったフランシスにギルベルトが反応した
「いや、早退しよう
俺様の家へ連れて行く」
どうして、あんなにも俺が好きって言っていたのに
急に連絡寄越さなくなったと思ったら恋人がいて俺は捨てられて
でも俺達は脅し脅されて性欲処理として始まった関係だったのにどうしてこんなに焦る?
どうだっていいじゃないかアルフレッドのことなんて
わかってる
わかってるのに
「…ふぇ………っ」
ぼろぼろ涙をこぼす俺を見て3人がギョッとしたのを感じた
そりゃあ今まで俺が目の前で泣いたことなんか無かったから当たり前だけれども
とにかくいろんな感情が混ざり合ってぐちゃぐちゃで悲しくて悔しくて腹立たしくて切ない
好きな奴いたんだ、俺のことあんなに好きって言ってたのに、ただの性欲処理か、いや練習台かも、あの告白はその場のノリか…
もっと早く気付けていたら俺はこんなに傷付かなかったかな…
ギルベルトの部屋は馴れた空間だったけど久しぶりに入った
それでも安心感からか泣きながら睡魔が襲う
しゃくりあげる体を誰かがベッドへ連れて行き布団を掛けてくれた
「…アーサー…」
大きな手が俺の頭を優しく撫でてくれる
そこで俺の記憶は途切れた
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