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「明日か…」
生徒会長として最後の仕事を終わらせ机の上で伸びる
明日卒業式と生徒会の任命式があり、それが終われば長い春休みが始まるのだ
悪友3人と進路が離れてしまうのは寂しいが会いたかったら会えばいい
皆この町にいるのだ
フランシスはフレンチレストランで修行
アントーニョは実家の八百屋(トマトばっかだが気にしたら負けだ)
ギルベルトはプーだし…(ガソリンスタンドの店員だとキレられた)
…アルフレッドとはこのまま終わるだろう
いや、始まってすらいなかった関係だったが
ここで好きだと言われ抱かれていたのはほんの数週間前だったのにずいぶんと懐かしく感じる
結局嘘だったけど
帰ろうと生徒会室の扉を開けた
鍵を掛け職員室へ戻す
人のいない玄関だけが灯りを灯していたが不思議と怖さは無い
ぼんやりと外を見ながら靴を履き替え一歩踏み出した時
後ろから誰かに腕を捉まれた
咄嗟に振り向くと視界に入った金髪
「やっと捕まえた…!」
「…アルフレッド」
どうして、と呟く
もう8時を回っていて外は真っ暗
人のいない玄関で一人待っていたのだろうか?
「君、急に連絡くれなくなったしさ…電話も出ないし…」
「………」
捉まれた腕が熱い
ブレザー越しなのにアルフレッドの体温が移りそうだ
「なんで俺を避けたの?」
嘘なんか許さないと言わんばかりの鋭い視線が俺を問いつめる
なんでお前が怒ってるんだよ
「もしかしてあの銀髪の人と付き合ってるの?」
「ちが……」
「俺のこと嫌いなんだ?」
上から目線の態度が酷く癪に障る
手に力が籠もってキリキリと腕が痛みストレスと焦りで思考回路がめちゃくちゃになる
ついにそれは爆発した
「お前が他の男子生徒と付き合ってたくせに口出しすんな!離せ!」
思い切り振り払うと外へ飛び出した
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