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いつも逃げてばかりだった
重要な時に怖じ気ついてしまう
今回だってそう
気になるなら聞けばいいのに
なにもここでキレて飛び出さなくても
そう後悔したがアルフレッドの口から恋人が出来たなんて聞きたくない
ついに崩される、認めてしまう
好きだ
アルフレッドが好きだ
今までキスもセックスも好きだから合意していた
連絡が来ると嬉しかった
話が出来なくて悲しかった
恋人がいてショックだった
全部脅されていたからと理由を付けていたがもう言い訳する必要も理由も無い
好きになってしまった
綺麗な顔もちょっと強引だけど活発な性格も優しい指も全てが全て愛おしい
どうして今更気付いた
無意識のうちに封じ込めた思いが溢れ出して心を満たす
電灯の微かな光の下で立ち止まり息を整える
そして後ろの足音を聞きながらその時を待っていた
少し離れた足音は明らかにアルフレッドの物で荒い息遣いが俺に届く
…追いかけて来てくれたんだ
だけど俺は振り返らない
熱い頬に冷たい指が触れる
後ろから抱き寄せられ目を閉じると目蓋の裏に浮かぶ顔
「俺は、君が好きだ
彼は恋人なんかじゃないよ、俺が好きなのは君…アーサーだけだから…」
震えた声が耳に入り視界が滲んでいく
嬉しい、でもじゃああの雰囲気はどう説明するんだ?親しげなオーラは?
言いたい事があり過ぎて言葉が出ない
ようやく出た言葉は一つだった
「…ばか」
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