卒業

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「会式の言葉」 もう二度と見れない風景を目に焼き付けた 生徒会の任命式を無事終えて卒業式へと移る 開式の言葉をぼんやり聞きながらと3年間を振り返った だがすぐ名前を呼ばれる はい、と凜とした声で返事をし壇上へ上がると校長が潤んだ目で見つめてきた 俺はそれに淡い微笑みを浮かべて返し受けとる 薄い紙が酷く重く感じた 壇上を降り自分の席へ着く 着々と進む卒業式が早く終わればいいのにと思う反面少し寂しくなった 光が差し込む体育館の窓の外にはうざったいくらいのそりゃあ綺麗な青空 あの日みたいだと思いながらまた名前を呼ばれたので返事をして立ち上がる 卒業生代表として壇上へ上がると軽く礼をしてマイクにスイッチを入れた 答辞を開くけどそこには何もかかれてはいない 白紙の答辞 それを見つめながらぽつりぽつりと言葉を紡ぐ アドリブで良かった、考える必要などなかった 俺は頭に浮かんだ思い出や後輩に対するアドバイス、先生方に対する感謝の気持ちをぶちまけた 涙が溢れてカッコ悪くもなったけど、それでも良かった 「―年度卒業生、アーサー・カークランド」 そっと閉じた答辞という名の紙を置き今度は深く礼をして 拍手に包まれるなか席へ戻る もうすぐ終わるであろう式 終わってしまったら、 俺は、俺達は
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