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「先輩!」
さっきからボタンをくれという女子が詰めかけてきていた
俺はそれを優等生の仮面を貼り付けてやんわりと断る
「実は先約がいるんだ」
泣きながら走り去るのを何回も見ている為もう既に罪悪感は消えている
あながち間違ってはいない
もうすぐ来る
アイツは絶対
「じゃあ俺達先に打ち上げ会場行くから」
「会場ったって俺様の家じゃねーか!」
「また後でな!」
無惨にもブレザーのボタン全てやネクタイなどが消えた悪友3人が軽く肩を叩き笑いかけた
それに頷くと自然と足が動いた
目的地は一つ
その途中何人もの女子(男子にもだが)声を掛けられたが急いでると返した
階段の先の扉
窓から見える青空
ドアノブを震える手で握り回す
「卒業おめでとう、アーサー」
青空をバックに微笑んでいたのはアルフレッド
花束を押し付けてきたので受け取ったがそれは赤いバラ
花言葉知ってんのか、と笑えばずっと前から言ってるだろうと茶化された
でも顔は真剣そのもので俺は決意を固める
「アーサー…あのさ、聞いて」
「俺はあの日タバコを吸ってるのをネタに迫ったけど俺は本当はずっと前から好きだった。入学式で見た君に一目惚れさ。それ以来ずっと見てたけど君が卒業しちゃうって焦ってた。けど」
言葉を切って俺を見据える
「俺はもう狡い手は使わない。
俺はアーサーが好きだ」
何回もアルフレッドに告白されていたが俺は逃げていた
しかし今日は違う、逃げない
俺はそう決めていた
「…アルフレッド」
ブレザーからボタンを引きちぎり投げつけた
それを器用に(いきなり投げたにも関わらず)受け取ったアルフレッドは意味を理解し顔を綻ばせる
「いっとくけど俺独占欲強いからな。あと俺初めてだったんだから責任取れよばーか」
タックルの如く抱き締められたが悪い気はしない
俺達はしばらく抱き合っていた
「…俺もアルフレッドが好きだよ」
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