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「ギルベルトは俺の彼氏なんかじゃねぇぇぇぇぇっ!」
盛大な音を立てて扉を叩きつけるように開け叫ぶ
さっきの電話でギルベルトを彼氏だとかなんだとか言われるのがなぜか嫌だった(ゲイ扱いはごめんだからな)
案の定アルフレッドはふてぶてしくフェンスに寄りかかっていた
俺に気付くと嫌~な笑顔で迫ってきやがる
「コーラ買ってきてくれた?生徒会長様」
様をわざとらしく付けた所がまた腹立つ
ほとんど八つ当たりでコーラを押し付けると嫌~な笑顔から満足したような子供っぽい笑顔になった
一瞬そんな純粋な顔もあるのか、と考えこんでしまってあわてて切り替える
話すのもめんどくさくなり数メートル間をあけて隣に座り自分はスコーンを出した
いつも買うチョコチップの入ったスコーンだ
袋を開け食べようとした時視線に耐えきれなくなった
「…んだよ」
アルフレッドがコーラ片手にこちらを見ていたのだ
ギッと睨んでも笑いを返されるだけで逆にイライラする
見つめあったままアルフレッドが距離を詰めてきてあっという間に肩がつくくらいにまできた
あ、キスされる
ほとんど直感だった
読み通り顔が近づいてきてそのまま重なった
合わせるだけのキスなのになんとなく空気に酔ってしまう
…アルフレッドが綺麗な顔をしてるのが悪い
すべすべのまだ少し幼い印象の輪郭に形のいい眉毛(今眉毛って聞いて笑った奴出てこい)
今は閉じられたブルーは空を連想させる
また薄くとも柔らかな唇が自分の唇と重なっていると思い出して今さら恥ずかしくなった
そうだ、抵抗できないのはアルフレッドに脅されていてしかもキスを拒めない程度に綺麗な顔だからだよ
うんうん
断じて男が好きとかそんなんじゃないぞ
もうこのまま身を委ねよう
そう思った瞬間響いた声
「あ、あああああアーサー?!」
…裏返った声の主が一部始終を見ていたらしい
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