愛を知るということ

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ピッピッピッ…… ピッピッピッ…… 「ん……」 音を頼りに手を伸ばし携帯を開くと、 それがアラーム音ではなく、メールだと 知った。 「マジかよ……」 曇り空が広がる日曜日の朝6時。 帝からの一斉送信されたメールで 喧嘩部の活動は始まった。 集合は7時。余裕を持って支度を始めた 悟だったのだが、6時20分頃、宏幸が 起こしに来てくれたて、6時30分には 部室についた。 「おはようございます。 神田先輩、響先輩」 「あ、あぁ……おはよう」 「帝部長でしたら葉瑠先輩にお届け物が あると申されまして、執行部の方へ お出掛けになりましたよ」 「そ、そう……」 他の部活と違い、2人で副部長と言う 役割を勤めている者であるからにして、 他の部員より早たつもりだったのだが そこには既に先約がいた。 高等部2年生徒会執行部一瀬悠吏と、 高等部1年喧嘩部部員松本直樹は机の 隅を使い書類整理をしながらパソコンの データ処理もしている。 「おはようございます。 飲み物を御出ししますが、 ご要望ありますか?」 給湯室から顔を出した朔は先輩方が 座るであろう椅子を引き、座るように 促し、宏幸達の5歩程下がった場所で テーブルクロスやティーカップを棚から 取り出し、もてなしの準備をしている。 「では珈琲をお願いします」 「珈琲でしたら、ブラック、カフェオレ、 カプチーノができますが」 「ではカフェオレで」 「承りました。 神田先輩はいかがなさいますか?」 「俺はアッサム、ミルク多めで」 「承りました。それで、もし宜しければ ご一緒にスコーンもお付けさせて頂き ますがいかがですか? ジャムは苺、マンゴー、マーマレード、 ブルーベリー。その他にも通常の蜂蜜を ベースに、檸檬、サクランボ、林檎を。 これらは我家が営みます、プリンセス ホテルが誇る朝食の味や食間がそのまま お試しいただけます」 「では、お願い致します」 「あっ、俺も」 「すぐにご用意いたします、 失礼いたします」 宏幸達の目の前に広がるは立派な白い ミンク生地のテーブルクロスと一輪の 薔薇。
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