愛を知るということ

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「馬鹿!!帝も下げるんだよ!!」 葉瑠が手を振り払い頭を押さえて 無理矢理下げさせると、ふてくされた 帝は棒読みで短く謝った。 「弟君が正しいで、頭を上げてや。 謝りに来たのに謝れると何か複雑やし」 顔を上げると智治は苦笑浮かべていて、 2人はもう一度簡単に頭を下げてから 葉瑠は皆に椅子に座るように促した。 「そう言えば、執行部の子等は まだ来んの?」 「……。えっ?」 葉瑠は嫌な汗と共に顔がひきつる。 あれ?俺らいつ呼び出しくらったの? 今日は普通に仕事を持って来てたし、 その時にも何も聞かされはいない。 呼び出された覚えも、全く身に覚えが ない話だが一応思考を巡らせてみるが やっぱり分からない。 「永峯さん達は何かと忙しい身なんで 俺が聞いて伝えておきます」 今の状況下、これが一番の策だろうと 思って言った言葉を聞いた智治は葉瑠の 頭を撫でてから話しを始めた。 「事は重要。 早急に対処せないかんと思いよんや。 我ら第6勢力とかぬかしとる馬鹿共」 皆で顔を見合わせ帝が口を開いた。 「なんでいかんと?」 「何でって……、一応さ、東西南北で 区切られた4つの地域を各々の学校が 守りよう代々勤めてきた。 その中心の区域を嵐山にお任せして、 親交、街の活性化を計り、人によっては 将来自分家を引き継いだ時の未来投資な 訳や。5つの学校で生徒会や会執行部が 中心となって、悪の手から街の皆さんを 守って来たやろ?」 「だからそれがなんやの。 5つの地域を6つの学校で 守ればよかとやん。」 「それは何があっても駄目だ」 今日は至って真面目な智治は ここに訪れる前、親友が入院したと 聞かされて病院に寄っていた。 付き合いは3年ほどで名を寺塚実。 学校は違えど生徒会を通じて知り合い、 それからは幾度となく自分達のあり方に ついて語り、それを目標に掲げ頑張って きたのだが…… 「風原高校前生徒会会長であった 寺塚司氏ならば交流は可能だが、 今の生徒会会長、源本浩輝はプロ並みの 格闘家を集めた武力重視の過激派。 話し合いは愚か、狙われれば怪我では 済まない事態が想定される」 「前?今年まだ3年やろ?」 「今は入院中だ、全治6ヶ月。 俺としては一人でも乗り込んで 敵を打ちたいが王妃に止められたから 今は黙っている」 学校内での揉め事に他者が 踏み込めない理論。
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