愛を知るということ

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「司さんに腕相撲で勝てたのは喧嘩部の 帝と悟のみ。素手よりも蹴り専門が多い この状況での力比べは圧倒的に不利と 言えます。 相性も視野に入れるべきですが、 相手の情報が無い上に誰が誰を倒すと 決めても相手の出方が分からない以上、 迂闊に事を荒立てるのは無意味だと 言わざるを得ません。 それを踏まえてお聞きします。 少し無謀すぎませんか? 相手は司さんを負かすような人達。 とても正統なタイマン等で来るとは 思えません。 どうしても私には、我が校の大事な 後輩達を貴方が個人的に抱く怒りを 沈める為に、生け贄に差し出せ。 と言っているようにしか聞こえません。 何か異論はありますか?皇帝様」 中盤辺りから涙になっていた智治は 葉瑠に抱きつき宏幸を指差して訴える。 「うわぁ~ん、ひーちゃんが虐めるよ!!」 「すみません、その汚らわしい手を 除けていただけますか? うちの大事な葉瑠が汚れます」 剥がそうと宏幸が智治の腕を引くと、 嫌々と一向に離そうとせず、首が絞まる 前に葉瑠は智治の頬に触れて視線を 合わせる。 「皇帝の考えは俺っち達に戦って欲しい だけでは無いのは分かったけん、 検討してみるっち。やから早まったら 俺っちも怒るっちゃよ?」 方言を使って笑いかけるだけで頬を赤く 染めた智治に続いて宏幸の手を握り、 「頼りにしてるっち。」と微笑んで 智治に突っ掛かる手を外させた。 葉瑠と帝の武器は素手より案外 “色仕掛け”の方が強いのでは?と 頭を過ったメンバーは思わす失笑した。 「取り合えず、事情は了解したと。 喧嘩部は欠席者以外は収集して、 作戦を練って欲しいっちゃ。 響さんと永峯にも参加して貰いたいけん 呼んでくるっち。」 席を立ち、部室を出てから携帯で電話を 掛けたが通話中になるものの 「もしもし?」と話しかけても返事は ないが、その代わり変な雑音と嫌な 予感がして一度電話を切り、GPSを使い 2人の居場所を探る。 「えっと……、第3……運動場……」 2人供同じ場所に居るのを確認して 携帯をポケットに入れて走る。 急いで靴を履き替えて、校舎を抜けて テニスコートや野球をしている第1、 第2運動場を抜け第3運動場へ。
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