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私は散歩によく行く。
カプセルに足がついた1人乗りの乗り物で街を歩く。何時間も歩く。しかし街には誰もいない。いつもの事だ。しかしため息は隠せない。最後に人影を見たのは6年前。その前は8年前だ。いずれも7月の昼間だった。8年前、私が歩いていると喫茶店の角で偶然鉢合わせたのだ。私の姿を見ると彼は一目散に逃げた。私はすぐに追いかけた。10才くらいの子供だった。30秒ほどで捕まえたんだけど、機械の腕は力の加減が難しく、私は図らずもその美しい少年を殺してしまった。本当に悪いことをした。
私は彼を埋葬しようと穴を掘った。しかし死骸を入れると頭だけが出てしまった。
仕方がないので折りたたんで埋めた。
そしての薔薇のドライフラワーを一輪供えた。
私はこうして最後の花を使ってしまったのだ。
二年後に今度は遠くの丘に大人の人影が見えた。私は最大音量で呼びかけた。私も人間だ、こっちへこい、食べ物もあるってね。でも聞こえているはずなんだけど警戒したんだろう。その人影は消えてしまった。
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