砂漠

１

今日は7月31日。日が傾くにつれ、期待は徐々にさみしさに変わっていく。十年前にはこの場所には人が溢れていた。ベンチに座る十代のカップル。嬉しそうにソフトクリームを舐める女の子、母親に叱られて泣き出す男の子、静かに微笑む老夫婦。しかし今は何もかもが無くなってしまった。
ここには、私だけのために悲しみと寂しさがただ漂っている。私は、十年前のあの日にいったい何があったかを知っている。その事を話す相手を探して今日も散歩をする。