日常13

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8月の半ば過ぎ。 凍夜が寮へ戻ってきた。 実家にいたら、魚屋の手伝いをさせられたらしい。 堪らず、逃げて来たんだってさ。 お土産って、沢山の魚介類を魔導クーラーへ入れて、運んで来たんだ。 魔導クーラーは、魔導ボックスの小型版だよ。 人が持ち運ぶことを前提に作られた物なんだ。 だから、持てないことは、ないんだけど… いくら魔術師の卵で、筋力が上がったっからってさぁ… これだけの量を、よく運んだなぁ。 早速、みんなを呼んでパーティだよ。 僕、清が中心で調理だね。 お母さん達にも、手伝って貰ったよ。 すごく、美味しかったよ。 帰ってきた凍夜が、みんなに言うんだ。 「キャンプ、行かへんか」 僕らは夏休みだけど、大人はねぇ。 「お父さん達は、仕事だしなぁ」 「いや、いや。  ワイらだけでやなぁ」 「何、言ってんの!  子供だけで、行ける訳ないでしょ」 奈那子ちゃんが、呆れて言う。 「大丈夫じゃないんね。  うちが思うに、学園のキャンプ場なら、安全じゃしねぇ」 おい、おい。 桃子ちゃん、行く気満々だよ。 「けど、道中は、どうするのよ。  車なんて、ないわよ」 沙里奈ちゃんが、ツッコム。 「ワイら、魔術師の卵や。  荷物運びは、まかせや」 「良し。  凍夜、君に決めた」 と、隆。 「ワイだけと、ちゃぁぁぁうっ!」
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