日常13

32/105
前へ
/368ページ
次へ
でも、でも。 ブラック優奈にならなくて、良かったよぉぉぉっ。 真理先輩は小皿のカレーを、ゆっくりと口へ入れてるね。 そして… 驚いてる。 僕達用のカレーってさぁ。 甘口なんだよね。 辛過ぎるのは、苦手さ。 代わりに、旨みは凄いんだよ。 だってさぁ。 あらかじめ、僕と清が作った、特製スープを使用してるからね。 様々な食材を組み合わせ、長時間、じっくり煮込んだスープ。 もちろん、灰汁はこまめに掬ってるよ。 コンソメに近いスープを、ベースにしてるのさ。 不味い筈がないよね。 「な、何よ、このカレー。  う、嘘ぉぉぉっ。  私が作ったカレーより、遥かに美味しいじゃない!」 あっ! 先輩が、落ち込んじゃった。 そんな真理先輩を見た先輩の1人が、苦笑しながら来たね。 カレーを持ってるよ。 「真理が邪魔したな。  悪かった。  わびじゃないが、俺らのカレーも食ってくれ。  コイツ自慢のカレーなんだよ。  コイツ、料理には自身があってな。  確かに(旨い)と、俺は思っている。  ただな、他人の料理と比較したがるんだ。  困った癖だろ。  コレ、俺らの口に合わせてる。  だから、辛いとは思うんだがな。  まぁ、食べてみてくれや」 そう言って、カレーを僕らへ渡したよ。 僕は受け取りながら、先輩へ訊いたんだ。 「え~っとぉ。  先輩は?」 「ああ、こりゃ、済まなかったな。  俺は、相田 豪。  一応、コイツの彼氏をさせて貰っている」 そう言って真理先輩の頭を、ポンと軽く手を置くように叩いてるよ。
/368ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1831人が本棚に入れています
本棚に追加