日常13

34/105
前へ
/368ページ
次へ
真理先輩が、感想を訊きたそうにしてるねぇ。 「このカレー。  僕も美味しいと思います。  スパイスの調合に凝ってるのが分かりますからね。  でも、僕らのカレーとは、基本的な考え方が違うんですよ。  僕らは、辛いカレーってダメなんです。  だから、旨みにこだわってるんですよ。  今日のカレーのために、スープを作ってますから。  そのスープをベースにしてるんです」 そう教えると真理先輩は、キョトンとした顔になっちゃったよ。 「はぁ!?  スープって?  カレーって、材料を水から煮込んで作る料理よね」 やっぱり、考え方が違うんだよね。 「カレーは、汁物なんですよ。  旨みを抽出して、液体へ溶け込ませるんです。  それが汁物だと、僕らは考えてるんです。  だからカレーは、煮込むと美味しくなるんですね。  素材の味が、スープに溶け出すんだから…  じゃぁ、そのスープ。  あらかじめ用意したらどうでしょう?  より美味しいカレーが、作れるって思いません?  僕らのカレーって、その考えで作ってるんですよ」 そう説明してると、奈々子ちゃんが言うよ。 「雄二君のお母さん。  ネットのカリスマ主婦の鈴木 施玲奈様ですよ。  清君のお婆さんは、伝説の女和食職人、仙波 加奈子様なんです。  2人とも施玲奈様の教室へ通ってるんです。  私もですけど」 「ねぇ、奈々子ちゃん。  いい加減、お母さんと清のお婆ちゃんを、様付けで呼ぶの止めたら?」 言っても、きかないんだよねぇ。 「私の勝手でしょ」 やっぱりね。
/368ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1831人が本棚に入れています
本棚に追加