日常14

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翌日、桃子ちゃんは広島の実家へ帰郷したよ。 隆は両親を説得して、桃子ちゃんに付き添って行ったんだ。 僕のお母さんも、同行したけどね。 桃子ちゃんのご両親は、向こうで荼毘されたんだ。 お骨として、こっちへ帰って来たって。 広島の実家で、ご両親の葬式だね。 桃子ちゃんの親戚の人が、葬式をしてくれたんだってさ。 葬儀には、支援ボランティアからの参列者も、いたらしいよ。 代表で、1人だけの参列だったらしいね。 魔術師からも、1人参列していたって。 紛争地帯からの参列だからねぇ。 仕方ないよ。 隆に聞いたんだけど… 「嶋籐ご夫婦は、実に有能な方達だったよ。  {娘が独り立ちする時に、支援するんだ}と、非常に努力されていた。  ただ、娘さんに会わなかったり、遊んでいるような手紙をな。  それが気になって、訊いたことがあるんだ。  そしたらね。  {そんなん、テレくそうてのぅ}とか。  {凄くなって、娘を驚かせてやるんです}とか、言われていた。  愉快な方々で、グループの皆も、何時も和ませて貰っていたよ。  実は我々も、貴方の両親を失って辛い。  彼らが、我々を支えてくれる人材になりつつあっただけに、非常に残念だ。  ご両親は我々のグループで、中核を担うほどの存在に、なりつつあったのだよ。  誇りに思って欲しい」 そう告げたそうなんだ。 すると桃子ちゃんは、しばらく黙ったままだったって。 そして… 「そんなん、せんで良え。  生きて、一緒に暮らしてくれるだけで、良かったんよ。  なんでね。  なんで、うちをおいて、死ぬんね。  そんなん。  そんなん、ないよぉぉぉっ!」 そう言って、泣き崩れたらしい。 葬儀を終え、意気消沈した桃子ちゃん。 彼女を支えるようにして、隆とお母さんが帰って来た。 親戚のお姉さんも、同行してくれてるんだ。 しばらく桃子ちゃんと、同居してくれるんだって。 早く、元気になってくれると、良いんだけどね。
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