日常15

14/38
前へ
/368ページ
次へ
僕が不思議に思ってると、お爺ちゃんが言う。 「そう言えば、雄二には言っておらなんだな。  わしは魔術師だて。  引退したがのぅ」 そう言って「ほほほっ」と笑う。 えっ! 爺ちゃんって魔術師だったの! 初めて聞いたんだけど! 僕らが驚いて見ていると、お爺ちゃんが言う。 「仕事が忙しくてな。  婚期が遅れたのじゃ。  故に、栄治が成人する頃には引退じゃて。  じゃから、雄二が知らぬのも、仕方ないでのぅ」 そうなんだ… 「さて、婆さんが、ご馳走を作って待っておるでな。  帰るとするかえ」 そう言って、僕らを駐車場へ連れて行く。 車はバンタイプの大型車だったよ。 結構、大きいけね。 けど後部に農具などが、乱雑に積んであるんだ。 少し狭いけど、仕方ないよね。 由美子姉さんが、助手席に座るよ。 僕らは、後ろだね。 横浜に比べると、走っている車が少ないんだ。 人も、のんびりと歩いてるよ。 時間が、ゆったりと動いている感じだね。 車で30分ほど移動したんだ。 そして、お爺ちゃんの家へ着いたよ。 平屋の一軒家なんだ。 周囲に民家は、見当たらないね。 畑と田んぼ、後は林だけだ。 お爺ちゃんの家は、大きめの屋敷と言える家だよ。 和風建築で庭もあるのさ。 ただ庭は、庭園のようになってないんだ。 単なる更地だよ。 広い敷地なんだけど… (北海道だからなぁ)と、僕は考えていたんだ。 でも、お爺ちゃんが、魔術師で活躍していたんだったら… 納得だね。
/368ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1831人が本棚に入れています
本棚に追加