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僕らがいる所から向かって左側、手前にあるのが、「夕染の滝」だってさ。
落差は25mほどかな。
岩肌のコケが美しくて、絹糸を垂らしたような繊細な滝なんだ。
右側の少し奥にあるのが、「釣鐘の滝」らしいよ。
落差は15m程だね。
夕染の滝より、水量が多くて迫力が凄いよ。
絶景に圧倒された僕らは、しばらく惚けたように、滝を見てたんだ。
しばらくして、川に色んな魚が泳いでいるのに気付いよ。
「滝も凄いけど、魚も凄いや。
これだけいたら、簡単に釣れそうだね」
「これ、これ。
ここの魚は、保護されとるのじゃ。
だから、釣りは禁止ぞぃ」
お爺ちゃんに、呆れられちゃったよ。
それから、滝壺の岸辺に裸足で入ったんだ。
冷たくて、気持ち良いね。
「やぁん。
なぁ~にぃ?」
ふふ。
優奈が魚にツツかれて、驚いてるよ。
滝壷で、しばらく涼んだあと、お弁当を食べたよ。
そして、寛いでたんだ。
そうしたらさぁ。
山道の方から、人が現れたんだよ。
何だか、焦ってるようだね。
「おお!
厳爺!
良い所へいたべや。
今、呼びに行くところだったんべや」
「なんじゃ。
そがぁに、慌てよってからに」
「熊の魔獣が出たんべや。
非常に危険っしょ。
なんで、厳爺を呼びに、行くところだったんだべや」
お爺ちゃんの顔が、厳しくなったよ。
「雄二よ。
非常事態じゃ。
お前達は、ここへおるんじゃぞ。
儂は、ちと魔獣の駆除に行くでな」
お爺ちゃんはそう言うと、男の人と森へ入っちゃったよ。
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