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すると、衝立の向こうから由美子姉が現れたね。
そして、呆れたように、言うんだよ。
「2日も寝込んでいて、彼女の心配?
本当に、この子達は…」
「えっ!
僕。
2日も寝てたの!?」
「{寝てたの}じゃないわよ。
大変だったんだからね」
僕は、あの後のことを、由美子姉から聞いたよ。
あの後、オコジョは火に包まれたまま、息絶えたんだって。
僕は滝壺に落ちたから、火は消えたんだ。
だけど、大火傷を負ってたんだよ。
危険な状態だったらしいね。
魔獣化した熊を討伐したお爺ちゃん。
疲れて、休んでいたんだってさ。
そこへ、滝の方から爆音が響いてね。
慌てて滝へ急行さ。
そして、必死に滝壺から僕を出そうとしている、優奈と由美子姉を見付ける訳だね。
僕の容態を見たお爺ちゃんは、真っ蒼になったって。
全身火傷で、危険だったらしいよ。
お爺ちゃんは、優奈と由美子姉を男の人達に任せるたんだ。
そして、魔術で宙を飛び、病院へ僕を搬送したんだって。
由美子姉が言うには、普通の人だったら、助からなかったらしい。
僕が魔術師で、豊富な魔那を練成できるから、助かったんだってさ。
魔術医が、僕の魔那に干渉。
細胞を活性化させたので、自己治癒速度が増大。
だからこそ、通常は治癒不可能と思われる火傷が、治癒できたんだってさ。
これは、一般の小学生では考えられぬほどに鍛練された肉体。
豊富な魔那量がもたらした奇跡だと、医者が騒いでいたらしい。
それで、優奈があんなに心配していたのか…
僕…死に掛けたんだね。
しかし、魔術って、やっぱり怖いかも。
でもあの時、僕に力がなかったら…
優奈が死んでたかも…
そう考えると僕は、(この力があって良かった)と、初めて思えたんだ。
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