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「さわんな。要はお前のペットじゃない」
無表情で端的にそう告げると、高橋は頬を膨らませた。
「なにその言い方~!超ーカンジ悪いんですけどおー!」
「そもそも、要はお前に用があるんじゃなくて俺に用があんだろ。分かったら帰れ帰れ」
ヤツを抱きかかえる手とは反対の手で、シッシッと追い払う仕草を見せると、高橋はあっかんべーをして自分の机へと戻っていった。
……小学生かよ。
「ちょ……煌輝っ!離せってば!」
俺の腕を振り払い顔を真っ赤にしているコイツは、逢沢 要。
生物学上男で、
中身もれっきとした男で、
なのに、最強の童顔女顔ゆえ、
パッと見じゃ女と見間違える。
健全な高校生男子とは思えないそのルックスから、女子からは「要ちゃん」と呼ばれている。
まあ、当の本人はその事実を喜んでいないのだけれど。
コイツとは10年来の付き合いで、いわゆる幼なじみ。
……だった、少し前までは。
「お前が迎えに来るとはめずらしいな」
腕を振り払われたことに若干寂しさを感じつつ、要を見下ろして言った。
「ああ、ホームルームが早く終わったから……」
「そっか。そんなに早く俺に会いたかったんだ」
「は!!??そそそそんなこと思ってないっつーの!うううぬぼれんなアホ!」
いやいや、耳まで真っ赤にされたら自惚れたくもなるだろ。
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