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俺と要は付き合っている。
男同士だけど付き合っている。
もっとも、お互いが相思相愛になって付き合い始めたのは割と最近のことなのだけれど。
「な、なに笑ってんだよ……!」
真っ赤な顔で怒っている要を見てクスクス笑う俺に対し、要はさらにムッとして俺を見上げた。
「ああ、いや、お前ってマジで顔に出やすいなーと思って」
「でっ、出てないし!!」
「いや、出てるって。分かりやすすぎる」
ニヤリと笑って答えると要は、俺に背中を向けて歩き出した。
「アホ!先に帰るからな!煌輝なんて知らん!」
あはは、怒ってる怒ってる。
子どもみたいに分かりやすい怒り方をする要。
俺が何も言わず後姿を見つめていると、数歩歩いたところで立ち止まり振り返った。
「……靴箱のとこで待ってるから早くしろよな!」
……先に帰るんじゃなかったのかよ。
なんだかんだ言いながらも、本当は一緒に帰りたいんじゃん。
いやいや、可愛すぎるだろ。
「分かったよ」
怒りながらも照れている要に優しく微笑んだ。
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