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顔も、声も、髪も、指も、体も、その全てが愛おしい。
要の全てが欲しい。
要が甘えれば甘えるほど、俺を頼れば頼るほど、俺の中の気持ちは溢れそうになる。
要が何気ない一言を発するだけで俺の心は大きく左右して、要が何気なく触れるだけで体は異常なくらい過敏に反応する。
好きだと言って、この手で抱いてしまいたい。
膨れ上がる欲望を自分の理性で必死に抑圧する。
そんな毎日。
要に好きという気持ちはバレたくないはずなのに、全く気づいてもらえないともらえないでイライラしてくる。
片想いで十分だったはずなのに、いつのまにかそれじゃ物足りなくなっていた。
鈍感すぎる要にも、理性が効かなくなりそうな自分にも、腹が立って、正直もう限界だったのだ。
ある日、その限界はピークを越え、ついに、プツリと切れた。
「俺は……ずっと、お前のことが……要のことが、好きだった」
一生言うつもりなんてなかったその言葉を、吐き出してしまった。
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