5人が本棚に入れています
本棚に追加
坂井は教室を出て行った。
俺は深いため息をはくと
机の中から次の授業で使う教科書を取りだした。
すると、また誰かが俺の席に近づいてくる
「おっす尚斗。また遅刻とか何してんすか?ッぷふ」
この、敬語を絡ませることで朝一番の会話での気まずさを打ち払い、そのうえしっかり俺を馬鹿にしてくるという高度な会話術の持ち主は、
同じクラスの川村である。
こいつとは高校からの仲だが
1年の時から同じクラスということもあって結構仲が良い。
「あぁ、昼休み呼ばれちまったよ」
「まあ最近お前遅刻多いしな」
「けど、坂井って基本怒らないのが魅力だろ?俺ここ半年位ずっと怒られずに過ごしてきたぞ」
「あぁ確かにあいつ怒らないよな。俺も職員用トイレであいつとばったり出くわしちまったけど、特に注意されなかったしな」
「俺だって掃除の時、坂井の眼鏡と教頭の眼鏡を入れ替えておいたけど、ぜ~んぜん♪」
「いやそれお前が犯人ってばれてないだけだろ。お前影薄いし」
「こころが」
俺はうつむく。笑いながら川村が手を振って訂正してくる。
「冗談冗談。てか逆にあいつ何で怒るんだろうな?」
「俺が1番最近怒られたのは…っても半年くらい前だけど、あいつに『先生って若く見えますけど何歳ですか?』って聞いた時だな。」
「女子かよ!!」
結構したり顔でビシッと川村が突っ込みを入れてくる。これが川村の中では最高に面白いらしい。笑顔だ…川村スマイル…。
「いやほんとだって、原稿用紙3枚やぞ?」
「おぉ、だとしたらあいつの地雷が全くわからん。」
チャイムが鳴り
授業がはじまった。
川村は自分の席に戻っていった。
それから
俺はいつも通りに昼休みを迎えた。そして俺はさっさと弁当を食べ終わると、川村達と別れひとり職員室へ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!