5人が本棚に入れています
本棚に追加
職員室の扉の目の前に来た。
扉には注意書きで『学年・組・名前は必ず名乗りなさい』と書かれている。
俺は2回扉を叩くと職員室の中に入った。
「2年1組の川村達也です」
「大声で嘘をつくな、」
職員室の奥のほうから、坂井が叫んでくる。周りの職員達も、個人差はあるが笑顔を俺にむける。
つかみは上々。俺は"テヘ顔"をつくり、坂井のいる奥のほうへ歩いた。
「昼飯はもう食べたのか?」
坂井が椅子に座ったまま、言葉をかけてくる。
「ぁはい」
俺は坂井とちょうどいい距離で立ち止まり、言葉を返した。
「そうかぁ、ちょっと待ってくれなぁ」
そう言いながら、坂井は書類で散らかった自分の机をガサガサとあさり始めた。なにか探しているようだ。
「どうしたんですか?」
「いや、お前に見せたい物があるんだ…あれ?見当たらないな。その事でお前に相談しようと思ってきてもらったんだが」
「育毛剤スか?」
「人をはげキャラ扱いするな。それにその事ならお前に相談しない」
どうやら俺は「最近遅刻が多いから」という、情けない理由で怒られる訳ではないらしい。
ほっとため息がもれる。
最初のコメントを投稿しよう!