プロローグ

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職員室の扉の目の前に来た。 扉には注意書きで『学年・組・名前は必ず名乗りなさい』と書かれている。 俺は2回扉を叩くと職員室の中に入った。 「2年1組の川村達也です」 「大声で嘘をつくな、」 職員室の奥のほうから、坂井が叫んでくる。周りの職員達も、個人差はあるが笑顔を俺にむける。 つかみは上々。俺は"テヘ顔"をつくり、坂井のいる奥のほうへ歩いた。 「昼飯はもう食べたのか?」 坂井が椅子に座ったまま、言葉をかけてくる。 「ぁはい」 俺は坂井とちょうどいい距離で立ち止まり、言葉を返した。 「そうかぁ、ちょっと待ってくれなぁ」 そう言いながら、坂井は書類で散らかった自分の机をガサガサとあさり始めた。なにか探しているようだ。 「どうしたんですか?」 「いや、お前に見せたい物があるんだ…あれ?見当たらないな。その事でお前に相談しようと思ってきてもらったんだが」 「育毛剤スか?」 「人をはげキャラ扱いするな。それにその事ならお前に相談しない」 どうやら俺は「最近遅刻が多いから」という、情けない理由で怒られる訳ではないらしい。 ほっとため息がもれる。
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