さくらさくら

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それは遠い昔のこと 誰に聞いたんだろうね 桜の木の根元には 死体が埋まっているなんて だから…花の色は 薄紅色なんだって …バカみたいな話でしょ? そしたら、この世の桜の木の根元には みんな埋まっているはずじゃないか だけど… このまま貴方を埋めたら 今、 俺が殺した貴方を埋めたら… 綺麗な薄紅色の花を咲かせるのだろうか 『他に好きな人が出来たんだ』 嫌だ!! 何処にも行かせない ずっと一緒に 永遠に…貴方をこの腕に抱いたままで 滴りおちる この紅い液体が 白い花を紅く染めるのならば どうか…俺のも使っておくれ 来年も、その次も この樹が美しい花を咲かせられるように いつか…誰かがこの花を見上げて 美しいと言ってくれるように あぁ… やっぱり埋まっていたんだね END
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