QED

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『方程式』が必要ですか? ただ……あなたが『好き』なだけなの 出番待ちの楽屋 狭いテーブルいっぱいに ところ狭しと置かれた新聞たち 私は近くのソファに陣取って ゲームを開いてみるけれど ちっとも集中出来てはいない 勉強熱心なあなたの その何気ない仕草も 難しそうに眉をよせる顔も ふと…絡む視線も 微笑みかけてくれる、その瞳も ……全部『好き』 あなたから発せられる言葉に一喜一憂して 嬉しくなったり 悲しくなったりするけれど それでも根底にあるものは変わらない 伝えられない、この『好き』は どんどん大きくなるばかり 何かに当てはめて 『証明』することが出来たなら どれだけ救われることだろう 「ねぇ和輝。俺、腹減っちゃったな。この仕事終わったら、飯食いに行かないか?」 「…もぉ。紅さんってば…仕方ないなぁ…付き合いますよ」 仕方ないだなんて… 嘘つき 嬉しいくせに 些細なことで もう幸せな気分になれる この『好き』が あなたに届かなくても それでもいい ずっと…あたため続けたい もう一度、考えてみる やっぱり『好き』に理由はないの 『方程式』なんかじゃ解けやしない 結局は それが私の… QED END 、
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