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受話器を取り、アーサーのケータイの番号を打つ。何度も電話をかけてるから、もう指が覚えてしまった。
打ち終えてしばらく待っていると、強弱のないたんたんとした発信音が鳴り始める。
これが何度目のイタズラ電話かなんて覚えてないけど、何度やっても、この電話に出ない間は、妙に緊張してしまう。
まだかな、早く出てくれないかな。とか。
電話に出た瞬間、どんな反応をするんだろうな。とか。
そんなたわいもないこと、密かに考え始める。
ところが、どうしたことか。
いつまで待っても、電話に出てくれない。
お陰で、さっきまで募りに募っていた好奇心は、いつの間にか不安に変わっていた。
「・・・おかしいな。
もう寝ちゃったのかな?」
そんなことを考えていたら、受話器の向こうで、ガチャリと音が鳴った。
なんだ、やっぱり起きていたのかい!
不安は一気に吹き飛び、話しかけようとする。
「Good morning!!アーs『うるせえ!!今何時だと思ってんだよ!?この糞野郎!!』
・・・・・え?
今なんか、物凄い罵声を浴びさせられたような・・・。
「ちょっ、いくらなんでもそれは酷すぎやしないかい!?」
今、素直に傷ついたんだぞ!?
するとアーサーは、キョトンとした声で、
『は?』と声を漏らした。
『あ、あれ。お前、アルか?』
「そうだよ!!」
『ったく、なんだ。お前かよ!
俺はてっきり、なんか知らねえ奴が夜中にイタズラ電話でもしてきたのかと思ったぜ。』
うん。あながち間違っちゃいないんだぞ。
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